
栄養豊富なことで知られる発酵食品。とはいえ発酵食品もさまざまですし、どの食材にどんな栄養が含まれているのか、把握できていない方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、主な発酵食品に含まれている栄養素について解説。それぞれの発酵食品に含まれている栄養素が、体にどのような効果・効能をもたらしてくれるのかまで、詳しく紹介していきます。
発酵食品に多く含まれている栄養素とは?
私たちの身近には、さまざまな種類の発酵食品があります。豆類、魚介類、肉類、乳製品、野菜、穀類について、それぞれの発酵食品に、主にどのような栄養素が多く含まれているのか、一覧で紹介します。
★豆類
・納豆
100g中に含まれるたんぱく質の量は16.6g。このほかにも、カルシウムやマグネシウム、鉄分などミネラルも豊富に含んでいます。ビタミンB2やビタミンEなども含まれているため、幅広い栄養を摂取可能。また納豆に含まれるたんぱく質は、体内に吸収されやすいという特徴もあります。
・豆乳ヨーグルト(ソイビオ豆乳ヨーグルト プレーン無糖)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、3.9g。食物繊維や大豆イソフラボンを豊富に含んでいます。カリウムやリンといった、ミネラル類も補給できます。※(2)
★魚介類
・塩辛(いか)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、15.2g。ビタミンAやビタミンB群、ビタミンEなどがバランスよく含まれています。マグネシウムや鉄、亜鉛といったミネラルも摂取できます。
・くさや(むろあじ)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、49.9g。カリウム850mg、カルシウム300mg、マグネシウム65mg、鉄3.2mg、亜鉛3.2mgとミネラルを豊富に含んでいます。ビタミンB群やビタミンD、ビタミンEも摂取できます。
・鰹節
100g中に含まれるたんぱく質の量は、77.1g。カリウムやリンのほか、鉄分が5.5mgと豊富に含まれています。ビタミンB群の中でも、特にナイアシンが豊富で100g中45.0mgです。
・アンチョビ
100g中に含まれるたんぱく質の量は24.2g。カルシウム150mgのほか、鉄2.6mg、亜鉛3.7mgのほか、ヨウ素やセレンなど、ミネラルを豊富に含んでいます。ビタミンでは、特にビタミンB群が豊富です。
★肉類
・ドライソーセージ
100g中に含まれるたんぱく質の量は、26.7g。鉄分や亜鉛のほか、ビタミンB群やビタミンEも摂取できます。ビタミンB12や葉酸も、バランスよく含まれています。
・生ハム(長期熟成)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、25.7g。鉄分や亜鉛を含め、各種ミネラルをバランスよく含んでいます。ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンEと、ビタミン類も豊富。特にナイアシンやビオチン、葉酸などが豊富です。
★乳製品
・ヨーグルト(全脂無糖)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、3.6g。カルシウムを特に豊富に含んでいます。ビタミンAやビタミンB群も、バランスよく摂取できます。
・チーズ(プロセスチーズ)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、22.7g。100g中のカルシウム量が630mgと、特に豊富です。このほか、亜鉛やビタミンA、ビタミンB群なども摂取できます。
★野菜
・ぬか漬け(かぶ)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、1.5g。各種ミネラルをバランスよく含んでいるほか、ビタミンB群も豊富です。中でも葉酸は100g中74?と豊富で、ビタミンCも含まれています。
・たくあん漬け
100g中に含まれるたんぱく質の量は、0.6g。ビタミンAやビタミンBのほか、ビタミンCも豊富です。
・キムチ(はくさい)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、2.3g。食物繊維やミネラルをバランスよく含んでいます。ビタミンAが特に豊富ですが、その他にもビタミンB類やビタミンCなども含まれています。
★穀類
・甘酒
100g中に含まれるたんぱく質の量は、1.7g。糖分やアミノ酸をバランスよく含んでいます。ビタミンB群も摂取できます。
・ビール(淡色)
100g中に含まれるたんぱく質の量は、0.3g。ミネラルやビタミンB群をバランスよく含んでいます。
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より※(1)
発酵食品に含まれる栄養素が体に与える影響について
では、発酵食品に含まれる栄養素は、体に対して具体的にどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか。代表的な栄養素について、具体的に紹介します。
★たんぱく質
たんぱく質は、人間の身体を作るために欠かせない栄養素です。20種類のアミノ酸から構成される栄養素で、バランスよく摂取する必要があります。
大豆や肉、魚などの発酵食品には、非常に多くのたんぱく質が含まれています。またそれだけではなく、発酵により分解されることで、体内に吸収されやすいという特徴があります。
★カルシウム
カルシウムには、骨を強くする効果が期待できます。吸収されにくい栄養素として知られていますが、ビタミンDがサポートしてくれます。
発酵食品の中でもくさやは、豊富なカルシウムとビタミンDを含む食材ですから、より効果的に吸収できるでしょう。
またカルシウムは、ビタミンKと一緒に摂取すると、骨の形成を促進できることがわかっています。ビタミンKは、納豆やヨーグルトに多く含まれていて、カルシウムと同時に摂取可能です。
★鉄
鉄は赤血球を生み出すために欠かせない栄養素です。積極的に摂取すれば、貧血予防につながるだけではなく、思考力や学習能力、記憶力などを高められると言われています。
鉄は普段の食生活で不足しがちな栄養素の一つ。納豆や鰹節など、鉄を豊富に含む発酵食品を上手に取り入れることで、鉄不足を解消できるでしょう。
★ビタミンB群
発酵食品に多く含まれているビタミンB群は、エネルギーを代謝する際にサポートする役割を担っています。たんぱく質を摂取しても、それがうまくエネルギーに変換されなければ、意味がありません。
ここで役立つのがビタミンB群です。ビタミンB群を十分に摂取できていれば、疲労回復や代謝アップといった効果を期待できます。発酵食品の中には、発酵によってビタミンB群の量が大幅にアップしているものもあります。その他の栄養素と組み合わせて摂取できるため、メリットは大きいと言えるでしょう。
発酵食品に含まれる栄養を知ってさらなる活用を
発酵食品には、非常に多くの栄養が含まれています。たんぱく質やミネラル、ビタミンを、バランスよく摂取できる点が、非常に大きな魅力だと言えるでしょう。発酵食品同士を組み合わせれば、栄養パワーはさらに向上させられます。
せっかく食事をとるなら、できるだけ多くの栄養を体内に取り入れたいものです。今回紹介した情報も参考にしながら、ぜひこれまで以上に発酵食品に注目してみてください。