肉の冷凍と解凍を繰り返すことは危険? 冷凍食品の注意点や保存期間を解説

自宅で冷凍しておいた肉を解凍した際に、余ってしまった経験はありませんか?フードロス削減のために気になるのが、再冷凍についてですね。肉の冷凍と解凍に関して、味の変化や食中毒リスク、再冷凍した場合の保存期間などを、わかりやすくまとめます。

そもそも解凍した肉を再冷凍して大丈夫なのでしょうか?

一度解凍した肉の再冷凍は、避けたほうが良いでしょう。

その理由は、以下の2つです。

★肉の組織が破壊され、風味が落ちるため

冷凍と解凍を繰り返した場合、肉内部の組織は徐々に破壊されていきます。「冷凍しておいた肉を解凍したら、薄ピンク色の汁が出てきてしまった…」という経験はありませんか?この汁はドリップと呼ばれるもの。細胞組織が損傷し、細胞内の栄養やうま味が、水と一緒に流れ出ていることを示しています。

内部組織が破壊された肉には、以下のような特徴があります。

  • 肉から水分が抜け、パサパサした食感になる
  • 肉本来のうま味が感じられない

味の劣化を防ぐために、再冷凍は避けたほうが無難です。

★食中毒リスクが高まるため

冷凍肉を解凍すると、時間の経過とともに、食中毒菌が増えていきます。再冷凍してもう一度解凍した場合、さらに食中毒リスクは上昇してしまうでしょう。

特に食中毒に注意しなければならないのは、常温解凍した肉です。常温の環境に冷凍肉を放置した場合、表面部分から解凍が進んでいきます。そして、早く溶けきった部分から、食中毒菌が繁殖していってしまいます。

「多少菌が繁殖していても、しっかりと加熱して食べれば大丈夫だろう」と、安易に考えるのは危険です。食中毒菌の中には、熱に対して高い耐性を持つ菌が少なくありません。

これら2つの観点から、基本的に肉の再冷凍は避けることをおすすめします。
最初に冷凍する際に、食べきれる分だけの量を意識し、残って再冷凍しなくても済むように小分けして冷凍しましょう。

解凍肉をどうしても再冷凍したい場合の対処法は?

前述のとおり、肉の再冷凍は、できる限り避けるのがおすすめです。

とはいえ実際には、「どうしても再冷凍する必要がある…」という場面に直面してしまうかもしれません。

このような場合は、以下の2つの方法を検討してみてください。

★肉にダメージを与えない冷凍・解凍方法を実践する

肉の再冷凍が問題視されるのは、冷凍や解凍といった手順そのものが原因ではありません。肉の細胞をできる限り壊さず、また食中毒菌が増えていない状態であれば、再冷凍できる可能性があります。

具体的には、以下のポイントを意識してみてください。

  • 冷蔵庫の中で、ゆっくりと解凍すること
  • 冷凍する際は、できる限りスピーディーに内部まで凍結させること

冷蔵庫で肉を解凍する場合、時間はかかりますが、品質の低下や食中毒菌の増加を防げるでしょう。その後、肉の中心部まで素早く冷凍できれば、再冷凍によるダメージは最小限にできます。ブロック状態ではなく平たい状態にまとめたり、アルミプレートの上に置いたりして、中心部までしっかり素早く冷えるよう、工夫してみてください。

★いったん加熱調理してから再冷凍する

いったん解凍してしまった肉は、加熱調理してから再冷凍する方法もおすすめです。生肉を加熱して調理済み肉へと加工すれば、雑菌の付着や増殖を防ぐ効果が期待できます。味の劣化も防げるでしょう。

冷凍時にはひと手間かかりますが、食べる際には時短で準備を完了できます。加熱調理の際は、以下の点に注意しましょう。

  • 生焼け状態になっていないこと
  • できあがった料理は、しっかりと冷ましたうえで素早く冷凍すること

ただし、こちらの方法で再冷凍した場合でも、状況によっては何らかのトラブルが生じてしまう可能性があります。においや見た目に問題があれば、食べずに処分することを検討しましょう。

再冷凍した場合の保存期間の目安は?

冷凍肉の保存期間は、冷凍時の状態によって大きく異なります。たとえば業務用の大きな塊肉を、マイナス35度以下の冷凍庫で急速凍結させた場合、1年以上は品質を維持できると言われています。

しかし家庭用冷凍庫で凍結させる場合は、もっと厳しい条件になると予想されます。

家庭用冷凍庫の温度は、せいぜいマイナス10度前後です。また、保存する冷凍肉についても、すでにカットされていて、空気に触れやすい状態になっていることが一般的でしょう。家庭用冷凍庫で正しく肉を保存した場合、約1カ月を目安に食べきるのがおすすめです。また、いったん解凍した肉(冷蔵庫でじっくり解凍)は、2~3日の間に食べるようにしましょう。これ以上保存期間が長くなると、食中毒リスクが上昇してしまいます。

再冷凍した場合の肉は、できるだけ早めに食べきりましょう。「冷凍庫に入れおいたから大丈夫」と安易に判断するのではなく、異常が発生していないかどうか、チェックしたうえで食べてください。

解凍肉の再冷凍は基本的にNGと心得て

肉の冷凍と解凍を繰り返すと、肉本体の風味が損なわれるだけではなく、食中毒リスクも上昇してしまいます。いったん解凍した肉は再冷凍せず、できるだけ素早く食べきるのが基本です。

どうしても食べられない場合は、冷凍や解凍によるダメージをできる限り減らしたり、いったん加熱して傷みにくくしたりする工夫が必須です。

肉の特徴や、その冷凍・解凍に関する基礎知識を身に付け、美味しくて安全な料理を楽しみましょう。

参考サイト