
冷凍魚を刺身で美味しく食べるためには、解凍方法に一工夫する必要があります。解凍に失敗すれば、せっかくの刺身が台無しになってしまう可能性があるでしょう。冷凍魚のおすすめ解凍方法を紹介するとともに、頭に入れておいてほしい注意点について解説していきます。
冷凍刺身を解凍するための3つの方法
刺身として食べようと思う魚を、美味しく解凍するための方法は以下の3つです。
★方法1:冷蔵庫解凍
もっとも手間がかからず、しかも美味しく解凍できる方法がこちらです。冷蔵庫解凍は、その名前の通り、冷凍した魚を冷蔵庫に移して溶かします。
冷蔵庫の冷えた空気の中で、ゆっくりと解凍できる点が、こちらの方法の特長です。ドリップの量が少なく、また衛生面でも安心な方法です。
誰でも手軽に実践できる方法ですが、デメリットは時間がかかってしまうことでしょう。解凍までに要する時間は、5~6時間です。夕食に刺身を食べようと思った場合、朝のうちに献立を決め、冷凍魚を冷蔵庫へと移しておく必要があります。
★方法2:氷水解凍
冷蔵庫解凍よりも短時間で解凍できるのが、氷水解凍です。
その方法は、以下を参考にしてください。
- 大きめのボウルに氷水(0~4℃程度)を用意する
- 凍った刺身を密閉袋に入れる
- 密閉袋ごと、刺身を氷水に浸す
- 1~2時間程度が経過したら、解凍完了
氷水を使って解凍する場合、魚が凍り始めるのとほぼ同じ温度で解凍できます。冷蔵庫解凍よりも、さらにドリップの量が少なく、魚本来の風味や味わいを堪能できるでしょう。
刺身を氷水解凍する場合、大切なのは、氷水を直接魚の身に触れないようにすることです。また、刺身の中心部はまだ凍っていても、外側部分がある程度溶けていれば、そのまま調理して大丈夫です。
★方法3:流水解凍
流水解凍は、水を流して解凍する方法です。氷水解凍と同じ手順ですが、ボウル内には氷ではなく流水を絶えず注ぎ込みましょう。流水解凍にかかる時間は、約20分程度です。
水は氷に比べて温度が高いので、流水解凍では比較的素早く解凍できますが、その分、ドリップの量はやや多めになります。
刺身を食べる予定の時刻を考えて、より良い解凍方法を選択するのがおすすめです。
魚を解凍する際の注意点は?
冷凍魚を解凍する際の注意点は、以下の4つです。
★適切に冷凍処理された魚を選ぶ
冷凍魚を解凍し、刺身として美味しく食べるためには、冷凍時と冷凍後の状況が重要なポイントです。冷凍時と冷凍後の扱いを雑にすると、魚の身の組織は非常に大きなダメージを受けてしまうでしょう。この場合、どれだけ解凍方法にこだわったところで、美味しく食べるのは難しくなってしまいます。
魚の場合、肉よりもダメージを受けやすいという特徴があります。冷凍魚を購入する際には、下記のような魚自体の状態を、しっかりとチェックしましょう。
- 新鮮な状態で冷凍された魚であること
- 真空パッケージで、販売されていること
- 素材の変色や乾燥などが気にならないこと
魚を冷凍する際には、急速冷凍するのがベストです。可能であれば、どのような方法で冷凍された商品なのかという点についても、確認してみてください。
★食中毒菌を繁殖させない
かじきやまぐろ、ぶりといった赤身魚を常温で解凍すると、食中毒の原因となるヒスタミンが増加してしまう恐れがあります。
ヒスタミンが原因の食中毒の主な症状は、以下の通りです。
- 顔(口の周りや耳たぶなど)の赤み
- じんましん
- 皮膚のかゆみ
- 頭痛
- おう吐
- 下痢 など
症状がひどくなれば、呼吸困難や意識不明に陥る恐れもあります。
食中毒の原因となるヒスタミンは、赤身魚に豊富に含まれているヒスチジンという物質が、酵素の働きによって変化し、産出されるもの。解凍中の温度が高いと、変化の原因となる酵素の働きが活発になるため、食中毒リスクが上昇してしまいます。
いったん産出されてしまったヒスタミンは、たとえ加熱調理しても分解されません。見た目や匂いには特に変化がありませんから、解凍時は注意して作業する必要があります。
★再冷凍は避ける
魚の冷凍と解凍を繰り返した場合も、ヒスタミンが作られやすくなってしまいます。いったん解凍した魚は、できるだけ早く食べきるようにしましょう。
避けたほうが良い解凍方法とは?
冷凍魚を刺身で食べようと思ったとき、避けたほうが良い解凍方法は下記の2つです。
- 常温解凍
- 電子レンジ解凍
常温解凍がNGな理由は、先ほどもお伝えした通りです。赤身魚以外の魚でも、食中毒菌が繁殖しやすい環境が整ってしまうため、避けてください。
冷蔵庫解凍する場合も、扉を開け閉めする回数によっては、庫内の温度が想像以上に上昇してしまう可能性があります。解凍中の温度状態には、しっかりと気を配っておきましょう。
また、時間がないときには便利な電子レンジ解凍ですが、刺身用の冷凍魚には向きません。短時間で解凍できる分、加熱時間の調整が難しいのが、電子レンジ解凍の特徴です。解凍ムラができやすく、「まだ凍っている部分もあれば、すでに火が通ってしまっている部分もある」といった具合になりかねません。ドリップの量も非常に多くなりがちですから、できれば別の方法を選択してください。
正しい解凍方法を知れば、刺身はもっと身近になる
魚本来の味わいや風味を楽しめるのが、刺身の醍醐味です。とはいえ、鮮度が気になってしまい、なかなか手軽には楽しめない…と思っている方が多いのではないでしょうか。
適切な解凍方法さえ知っておけば、冷凍魚でも、刺身で美味しくいただけます。余裕のある時期に購入しておけば、あとは解凍するだけで食べられるでしょう。調理に時間を掛けられない日でも、家族みんなが満足できる素敵なおかずになるはずです。
今回紹介した情報を参考にしながら、ぜひ美味しい刺身の解凍にチャレンジしてみてください。
参考サイト
- おいしい養殖魚の解凍方法-日本の魚類養殖業|全国海水養魚協会
- そう来たか! 達人直伝 本当にうまい刺身が家庭で!-NHK ガッテン!
- 魚を食べたら、じんましんが・・・ ~ヒスタミンによる食中毒~ -東京都福祉保健局
- ヒスタミン食中毒にご注意を!-北九州市
- 迷ったらチェック。魚の正しい冷凍方法【切り身の保存・賞味期限・解凍のコツまで】-冷凍食品・冷凍野菜はニチレイフーズ
- 種類に合わせて冷凍・解凍を|魚の冷凍・解凍・保存方法-急速冷凍で加工した食品のことなら食品冷凍情報サイト「おいしい冷凍研究所」
- ドリップなしでおいしく! 刺身用の生魚にぴったりな解凍法-急速冷凍で加工した食品のことなら食品冷凍情報サイト「おいしい冷凍研究所」